仕事中、職場の人が面白い意見を言っていた。
NGNの先のことを話していて、NGNさえ知っていればいいや、と思っていた私には少しショックだった。
NTT東西は、今、電話の設備を他社に一部貸し出すということを行っている。
ちまたで一時話題になった『番号ポータビリティ』という言葉も、携帯が先行しているように見えるけれども、実は、固定電話の方が先に行われている。前にも少し記述したかもしれないが、番号ポータビリティとは、同じ番号を持ったままで他社の回線に移行出来るしくみだ。
この番号ポータビリティによって、通信業界は一部混乱しているように思える。
業界が混乱…というよりは、正確にはユーザや末端の社員だろうか。
例えば、引っ越しをする場合。
一旦NTT東西から番号ポータビリティを行った番号で、その会社のままで移転手続きを出来る会社と、出来ない会社というのが存在する。例えば大手KD○I社やソフト○ンク社が良い例だ。本来であれば、NTT東西と協定を結んであり、一度NTT東西に変更せずとも、それぞれの会社のままで移転手続きが出来るしくみになっている。
ところが、(理由は詳しくないけれど)どちらもそれをしたがらない。
なにやらきな臭い気がしなくもないが、ただ単に手続きが面倒なのと、長時間を要する為、一旦NTT東西の回線に戻して下さい、と案内するものがあるようだ。
そうなるとユーザーは、あっちに電話をかけたり、こっちにかけたり…と混乱を起こす場合がある。本来であればそのままで移転手続きが出来るはずなのに、わざわざNTTに戻して工事費を払い、また他社に移行する為に工事費を負担するわけだ。
そうなると、NTT東西が悪者扱いになってしまうことが多々ある。
しかし、総務省がきっと…通信業界の競争をあおいでいるのだろう。
NTT東西だって、言い分はあると思う。
現在推進してる光ファイバーだって、新興住宅の地域に電柱を新しく建てる為に、幾つもの部門や工事者が動いている。それをおいそれと簡単に、他社に利益が行くように貸し出すよう…だなんて馬鹿げていると思う。
ユニバーサルサービスを導入しているんだから、という意見もあるだろう。
でも、もしも…貴方の地域から公衆電話や家の固定電話が一切消えてしまったら、携帯電話だけでやっていかれるだろうか?いや…正確には、携帯電話だって、一部の公衆電話や電柱を利用して電波を飛ばしているわけだから、携帯電話でさえも使えなくなってしまうかもしれないのではないだろうか。
今後、通信が不安定になっていくのはとっても不安だ。
8本ずつか1本か NTT光回線貸し出しルールで論争
NTTが他の通信事業者に光ファイバー回線をどう貸し出すべきかを検討する情報通信審議会(総務相の諮問機関)の接続委員会が16日開かれ、大手通信会社のトップらが論争を繰り広げた。焦点は、ネットワークから家庭へ引き込む回線を8件分まとめて貸し出している現状を容認するか、1件ずつ貸すよう義務づけるか。8件ならNTT、1件なら他社がもうけやすい構図のため、各社は“我田引水”の主張を展開した。消費者にとっても、ネットの利用料金やサービス水準に直結する問題だが、落としどころは見えていない。
≪孫氏の不満≫
「もしNTTが光ファイバーを独占したいなら、NTTグループの構造改革を今すぐ議論すべきだ」
ソフトバンクの孫正義社長は、回線貸しの主導権を握るNTTへの不満をぶちまけた。
市場で圧倒的に優位に立つNTTは、他社の求めに応じて回線や設備を貸し出すようNTT法などで定められている。このうち家庭向けの光回線は、1本の太い回線をまず局内でまず4本に分岐し、さらに家庭へ引き込む直前で8本に分岐する仕組み。NTT東日本・西日本は、8件分のファイバー1本を計5000円で貸し出している。
ところが借りる側は、8件分の回線を借りても、契約を2件しか獲得できないと6件分があまり、採算が取れない。委員会ではソフトバンク、KDDI、ADSL(非対称デジタル加入者線)大手のイー・アクセスが「1件ずつ借し出さなければ公正な競争にならない」とNTTに迫った。1件貸しが実現すれば、料金を大幅に下げられ、光回線の利用が進むとも主張した。
しかしNTTにも事情がある。他社が1件分の回線を借りても、残り7件分を含めて設備を保守運用するのはNTTだ。他社はリスクなしで事業展開でき、NTTがインフラの負担を一方的に負うことになる。
≪難航は必至≫
また、通信が混雑しないよう、分岐した8回線の通信速度などをそれぞれ制御する必要も出てくるが、各社が8回線に相乗りすれば、制御方法などの調整難航は必至だ。
NTTは次世代ネットワーク(NGN)の商用サービス開始を来年3月に予定するなど、光回線の普及に懸命だが、顧客獲得は想定を下回り、平成22年度の加入者目標を3000万件から2000万件に引き下げたばかり。事業は先行投資段階で赤字が続いている。他社の要求を受け入れれば、NTT自体の収益はさらに悪化してしまう。
議論は対立しているが、委員会は来年1月末にも報告書案をまとめ、3月に結論を出す方針だ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
■全国に電柱1000万本 NTTの優位を是正
NTTの回線の貸し出しルールが重要な政策課題となっているのは、電電公社時代に全国に築いたインフラによってNTTが圧倒的優位に立つ市場環境を是正し、公平な競争をもたらすためだ。
公社が築いた電話回線網自体は旧式の銅線のため、光ファイバー時代にはあまり価値がない。しかしNTTは公社の遺産として、全国に約1000万本の電柱を有し、ケーブル敷設用の地下トンネルも全国に張り巡らせて自在に使える。
一方、他の通信事業者が同様に電柱や地下トンネルを整備すれば「費用は1000億円、期間は100年かかる」(ソフトバンク)という。
NTTには、電柱や地下トンネルを他社に貸し出すようNTT法などで定められているが、「借りるには膨大な手続きと費用がかかる」(同)と他社の不満は根深い。
日本でインターネットの高速接続が普及したのは、NTTの電話線(銅線)の利用が他社に開放され、電話とネット接続を同時に行うADSL(非対称デジタル加入者線)サービスが爆発的に伸びたからだ。
そのADSLから光ファイバーへの移行が進めば、巨大な資本力とインフラを擁するNTTが再び市場を独占する可能性が高まる。このため他社は、NTTに光回線を素早く、安価に貸し出すことを強く求めている。